Junichi

時をかける少女のJunichiのレビュー・感想・評価

時をかける少女(1983年製作の映画)
4.0
ひとが、現実よりも、
理想の愛を知ったとき、
それは、ひとにとって、
幸福なのだろうか?
不幸なのだろうか?
(映画冒頭の言葉)

恋とは
記憶を遡及的に改変する
悪魔的な体験

【撮影】7
【演出】7
【脚本】8
【音楽】10
【思想】8

大林宣彦監督の追悼TV放映で

作中でタイムリープの起点となる日が
4月18日の土曜日
本作品を
2020年4月18日の土曜日に観賞

筒井康隆の原作小説よりも切なさが増し
広島県尾道の美しい海と空と家々
ノスタルジックな音楽
そしてなにより
原田知世の素朴な可愛いらしさが
奇跡的に記録された大傑作

もう何度も観ているので気になったことのみ

大林監督の演出の仕方はクセがすごい
80年代映画はサイケデリックな作品が多いと個人的に感じていますが
(80年代の『男はつらいよ』もサイケな感じ)
その担い手の一人が大林監督

撮影のクセもすごく
画面に酔いそうな箇所がいくつかあり
原田知世の正面からのアップは何度もあり(これは嬉しい)
本作品がアイドル映画でもあることに気づかされます(エンドロールもそう)

若かりし頃の色気のある岸部一徳の
なにやら思惑ありげな気持ち悪い目付き
時計屋の人が
店の中からこちらを見る気持ち悪い顔
などなどシュールな絵があります(好きです)

一転して物語最後
深町君と芳山和子が会話する場面から
時を断続的に遡りつつ
不連続が連続する表現技法を試み
エンディングを向かえていく
この一連の流れが神がかっています
ここだけでもう大傑作

最後に
一番印象に残ったのは
深町君がちゃっかり孫として入り込んだ
上原謙と入江たか子演じる老夫婦

主人公芳山和子が大学生になったとき
老夫婦が会話する場面があります
その会話がとてもやるせないです

相手の気持ちを考えずに記憶を改変する
そんな深町君は罪深いと思いました

オススメです
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