うにたべたい

宇宙大怪獣ドゴラのうにたべたいのレビュー・感想・評価

宇宙大怪獣ドゴラ(1964年製作の映画)
3.1
監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二、東宝配給の怪獣映画。
東宝はこの頃大量に怪獣映画を作成していて、1956年から年一本程度だったのが、63年、64年は凡そ4ヶ月に一本の割合で本多猪四郎監督作品があり、多忙を極めていたのではないかと思います。
ドゴラはそんな最中、64年4月に公開された怪獣映画で、日本映画では初となる宇宙怪獣が登場する映画として有名です。
宇宙怪獣といえば、私が思い浮かぶのはギロンとか、ガイガンとか、あとキングギドラなど質感の伴う恐竜型怪獣なのですが、本作の宇宙怪獣は巨大なクラゲのように宇宙を漂う生命体で、空を見上げると不気味にうごめく、クトゥルフの神々のような生き物として描かれています。

ストーリーは、宝石専門の強盗団とそれを追う警察の追跡劇と、世界中で発生しているダイヤモンド盗難事件の捜査、実質2つの異なる展開が並行して走る形になっています。
テレビ中継用衛星の謎の消失事件、トラックや人間が浮遊する謎の現象と時を同じく、世界規模のダイヤ盗難事件が発生。
ダイヤの盗難はある強盗団の仕業と思われ、警察は追跡を行っていたが、それら怪事件は、炭素をエネルギー源とする宇宙細胞の仕業ということがわかる。
強盗団を追っているうちにドゴラの正体に感づくダイヤGメンのマークがいいキャラをしていて、最後の最後まで敵か味方かわからないまま、何度も駒井刑事と仲違いをします。
そういう人間ドラマ部分が物語の大部分を占めていて、怪獣映画という感じがあまりしなかったです。
ドゴラの登場シーンも数カットほどしかなく、またドゴラが人を襲うシーンもないため、どちらかというと怪獣が暴れることによる被害というより、ドゴラが巻き上げる石炭を糧に生きている炭鉱の人々の生活が視聴時には心配になりました。
ただ、その数カットの内に巨大なドゴラが空を舞うシーンがあり、その姿は巨大で、人では勝てないという印象を持たせます。

ドゴラの造形は、前述の通り、クトゥルフぽいというのが個人的な感想です。
他の怪獣では例えられない個性的なデザインで、例えばゴジラやガメラがドゴラと戦ったとして、そもそも戦いになるイメージが湧かないような姿形をしています。
作中ではこいつが人間に対して攻撃性を見せるシーンはないですが、例えば空から人体に含まれる炭素もターゲットとして吸い込み始めるとすると、一気に恐怖度があがります。
不気味さ、おぞましさを感じさせる素晴らしい造形だと思います。
しかし、ドゴラは人を襲わず、ダイヤや石炭をターゲットに略奪をするのみの怪獣なので、登場シーンはほぼ食事中のシーン。
ストーリーも悪くはないが、起伏が少ないため、中盤はやや退屈を感じました。
「ドゴラのご飯食べている姿がみたい!」という方にはオススメです。