イチロヲ

呪われた城のイチロヲのレビュー・感想・評価

呪われた城(1946年製作の映画)
3.5
従兄の大邸宅に招待された田舎娘が、領主を継承する家系の暗部に引き込まれてしまう。アニヤ・セットンのベストセラー小説を映像化している、サスペンス映画。

キリスト教徒の素朴な家庭で育てられ、夢見がちになったヒロインが、富裕層の従兄に急接近。別世界に飛び込み、刺激のある恋愛に浸り始めるのだが、肝心の従兄というのが典型的な「自分教」の信者。退っ引きならない状況に落とされてしまう。

聖書を愛読している人間は、その信仰心からマトモな倫理観を学び取ることができる。一方、無神論者の人間は、他人を慈しむことが分からず、自分本位の高慢な倫理観しかもたなくなる。そんなメッセージ性を推量することができる内容。

抑揚のないセリフ劇が延々と続く、凡庸かつ平板な作劇になっているが、上流階級のダークサイドを落とし込んだ物語と綺羅びやかなコスチューム・プレイは、なかなかどうして見応えあり。
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