pika

マンハッタンの二人の男のpikaのレビュー・感想・評価

マンハッタンの二人の男(1958年製作の映画)
4.0
カッコつけてカッコいいものは問答なしに魅力的!!
メルヴィル演じるモローが静かに歩いていく描写とか何気ないし飛ばしてもいいのに味わい深くてカッコよくて、これがメルヴィル美学か!と痺れる新鮮な感動。
全てキメッキメなわけじゃなくアンバランスな演出が非常に個性的で、街並みや俳優含め延々とカッコいい被写体とカメラワークに反して、独特な編集と音楽演出が時折口角を上げさせたり肩の力を抜いたりするもんだから変に気張らず娯楽作として楽しめる。

「フランス人は諺を忘れるのね」から「男女間の永遠の問題は私の家には向かないわ」と締める秘書のシーンから台詞が粋で悶えるし、歌手の登場シーンの長回しは特筆すべき素晴らしさ。
マンハッタンの夜の街で男を探す2人の男の道中は見ているだけでも酔えるし、女を伝って探していくので華やかさやアメリカ特有の文化を堪能したりと飽きる隙がなく、2人の男のキャラクターの対比や会話に抑揚があって面白い。

クライマックスの劇的な展開によるトーンの切り替えは、カメラや編集に加えて音楽の効果による絶妙なマッチングが緊迫感と感情を生んでいて、それまでの音楽演出はこのシーンのためにあったのか!と勝手に納得するくらいそれまでの演出の総決算みたいな、それまでがあったから効果的というのか、これまで出会ったことのない新鮮な感動を味わった。
着地の美しさたるや、余韻に酔いしれ心が満たされ、大満足の面白さだった。こりゃ傑作!
pika

pika