きねぼっち

エンジェルのきねぼっちのレビュー・感想・評価

エンジェル(1983年製作の映画)
3.5
パンフによると、この映画のテーマはハリウッドの街そのもの、とのこと(うろおぼえ)。

つまりハリウッドとは、退廃と堕落の巣窟、汚れた欲望に満ちたハレンチなビッグ・バッド・シティであると同時に、罰当たりな落ちこぼれや敗れた夢を捨てられない放浪者、不埒なはみ出し者でも、受け入れてくれる懐の深い街なのさ……というわけである。

それは、ハリウッド・ブールバードにおいて観光客あいての大道芸で食いつないでいる人々を見せていることからも明らかだろう。そういえば、トラボルタ主演の『ハリウッドの狂愛者』でも出てきてましたね、ココ。

そんな理由から「昼は優等生、夜は娼婦」という矛盾したキャラクターが着想されたのだろう。ハリウッドのような魑魅魍魎がうごめく街には、こんな人物でも存在できるはずだ、と。であれば、名はエンジェルでしかありえない。なぜか?

ハリウッドの住民でありながら、彼女は他とは違う、特別な人物だから。
道徳と悪徳を同居させつつ破たんしない意志の力、すなわち子供の持つ親への純粋な愛情の並外れた強さが彼女を成り立たせているからである。

エンジェルが単なる名前でなく役割であることは、シリアルキラーとの対決を決意した直後、教会を後にする彼女のショットを見れば一目瞭然。バッチリキマっていましたね!

ラストは???な感じでしたけど、人間の問題は人間で片を付けるべき、ということなのかな、とも思いました。
あと、設定だけですでに面白いのに、さらにサスペンスアクションを加える必要があったのだろうか……

ところで、この映画にはテーマソングがあって"SOMETHING SWEET" by the Allies 1984 となってました。フツーにアリーズで調べると別のが検索に引っかかってしまう。ようつべにも落ちているので、意外にこの映画は人気があることがうかがえて面白い。
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