ドント

湯殿山麓呪い村のドントのレビュー・感想・評価

湯殿山麓呪い村(1984年製作の映画)
3.7
84年。細かいことはさておき、好きな映画である。湯殿山麓に祀られる、己の意思でミイラとなった即身仏。その新しく、かついわくつきの1体を掘り出そうとする大学教授を主人公に、彼のスポンサーとなった富豪一家で起きる連続殺人を描く角川映画。
とにかくまず、主人公を含めてクズか犯罪者かクズの犯罪者しか出てこない。ここまでくると胸糞悪いのを通り越してスカッとするレベル。情や愛を踏みにじる自分本意がそこかしこで花開く。全体に暗鬱で救いがなく、因果が巡るトロ火の地獄ってなモンな上に、主人公(ドクズ)の謎解きすらもスーパーおざなり。あとミイラの造形とウジが涌いてる描写の嫌悪感がすごい。
ではそれのどこらへんが好きなのかと問われると、まずそんな彼らを一切拒絶するような遠巻き気味のカメラワークがよい。洋館や雪山の乾いた空気もよい(まぁミイラの話だしね)。そして何より、完全にヤケクソなラスト5分が素晴らしい。不条理・理不尽・理屈に合わぬ、そんなことはどうでもいい、「呪い」というのはこういうモノなのだ、と心の底から納得できるオチにうむ、と頷くばかり。呪いが解かれぬのなら、みんなこうなるしかないのだ。はっはっは。
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