ゆっぴ

オテサーネク 妄想の子供のゆっぴのレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
3.7
人には言えないけどおもしろかったシリーズの仲間入り。観る人選ぶと思うので注意です。あと、これから観ようと少しでも思っている方は、あまりレビューなどを見ないことをお勧めします。
いろんな方が芸術映画と書かれていますが、まさにその通りです。多分理屈で理解するというものではない気がします。

まず今作を観ようと思ったきっかけは、食欲を無くしたかったから。最近親知らずを抜いて、片側で食べるのが苦痛だったんです。
そこでまぴさんのレビューを思い出し、鑑賞しました。
よかった、本来の目的を達成させられました。
とにかく出てくる食べ物が不味そう。食べ物を美味しそうにみせることは難しいけれど、ここまで不快感つきまとう不味さを表現するのも難しいと思う。

作風はというと、全体を通して気味が悪いし軽いホラーだけど童話を元にしているからまだ大丈夫でした…。
しかし冒頭の赤ちゃんの無数のカットと泣き声は割とトラウマになりそう。
苦手、あの感じ…。この監督、食べ物もそうだけど多分あんまり赤ちゃんを無条件に可愛いとか愛でるタイプでは無さそう。

まず母親がどれだけ子供を望んでいたかは、子供がいないのに産着を着せる速さでわかる。一回も着せたことないのに(人形とかではあるかもだけど、そもそも不妊症夫婦で実演しているのかが謎なので…)迷いなく着せる。まるで本物の人間のように扱う。道具一式全てがすぐに使えるように用意されている。
最初この狂気染みた思い込みからだんだん人間の赤ちゃんに映像が変わっていくのかなと思ってたけど違う。木のままなのに、観てるうちに本当に生きてるみたいにみえる。
そもそもこのオテサーネク、生まれるまでの、ただの木から息吹をあげるまでの一週間が描かれてないのがポイントなのかな、と。小屋で母とオテサネークに何があったのかが描かれてないから、不信感や不気味さが出てくるのではないだろうか。
そして言語を話さない赤ちゃんだからこそ、狂気染みたものを感じる。

母性本能とは?子供を熱望し取り憑かれたようにオテサーネクの母になったボジェナや、まだ幼いにも関わらずオテサーネクと関わりを持つようになる隣家の娘アルジュビェトカにも母性本能があることを思い知らされる。
自分にもその母性本能が生まれるのか、もしくは既に生まれているのかと考えた。なんとも言えない不安定さ。
監督の世界観を見せつけられました。
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