HarukaFukuda

彼岸花のHarukaFukudaのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.0
また愛しい作品が増えてしまったなあ

小津安二郎のファンです。小津作品が好き。
でも、なんといえばいいのか、見尽くしてしまうのがもったいなくて、好きすぎて(伝わる?)意外と観きれてない小津映画。
これもはじめてみたんだけど、もう好きで好きで仕方ないです。

年頃の娘・節子にボーイフレンドがいないとからかっていたら、突然、娘のボーイフレンドだという谷口が、結婚の申し込みにやって来た。寝耳に水の平山は、谷口と節子の結婚に猛反対。従順な妻にも「絶対許さんし結婚式にもでないからお前もそのように」と言いつける。しかし、仲間連中の娘たちもみな年頃で、ひょんなことから娘たちの親への不満(自分たちの恋愛を理解してくれない、頑固でひとつ言い出したら絶対折れない、じぶんが絶対だと思っている・・・)を耳にする平山は、妻にも説教を返されて、渋々娘の結婚式に出席する。

いつものオッサンズは代わり映えなく、でも珍しく佐分利信が亭主関白だけどどこか憎めないいいおじさんの主人公でした。
現代にも通ずる父と娘の愛情と確執、不器用な関係性。それでいてどこか懐かしい風景と、ちゃきちゃきの会話劇が入り交じり、あったかいその人情風景が荒んだ心に染みわたります。

コメディリリーフの京都人役に浪花千栄子をすえて、他作品に比べてよりテンポのよいコメディ作品になっている気がします。
そして、寂れた中年パパへの応援歌、ともいうべきこの作品は、娘も妻も強く賢く逞しく描かれていて、古風な男尊女卑の時代から、現代の「嫁に頭が上がらない旦那」像への移り変わりのよき社会風潮が見えてくるのではないかなとも思います。

とにかく父世代VS娘世代を描く中盤までも楽しいのだけれど、終盤がとにかくいいです。
佐分利信、笠智衆、北竜二に中村伸郎、お馴染みのオッサンズが勢揃いする蒲郡での同級会のシーンから、ラストの列車内の佐分利信までもうわたし好み過ぎて文句なし。やっぱり小津はラストに持ってくる余韻が微笑ましくて最高に素晴らしいのです。

どの役者もいい味出していて誰がいちばんとも言えないのですが、ちなみにやはり田中絹代は良かったなーと、思い返してもそんな感想を抱いてしまいます。