ちろる

彼岸花のちろるのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.3
親には親の、子には子のそれぞれの信念がある。
幼い頃は意見が合わないことも少なかった仲良し親子でも、20歳過ぎれば親の見えない人格が形成されて、知らぬ間に親の思わぬ未来へ歩き出していることもある。
それは子どもが立派な大人としてちゃんと育った証拠。
なのに親はそれが少しだけ不満で虚しさを覚えてしまう。

他人の子供のことなら色んな理想論をぶちかますのに、自分家庭の事となると途端に封建的になる。
子どもが自分の思い通りの相手と結婚したがらない事を「わがまま」だと言う古い考えの親世代と自由恋愛が当たり前になりつつある若者世代が同じ時代に生きるこの50年代後半の特殊性が浮き彫りになったユニークな作品だった。

原節子さんはもちろん、杉村春子さんが登場しない小津作品は初鑑賞だったので、ちょっぴり寂しい気がしたけど、旅館の女将役の浪花千栄子のインパクトのある開けっぴろげなべしゃりぶりが面白くってこの作品においては良い毒気となって楽しめました。