Ricola

彼岸花のRicolaのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.7
「娘の結婚」がテーマの小津監督の作品の一つ。

複数の親子のやり取りが微笑ましい。親と子のそれぞれの心情がよく描かれている。

日本家屋だからこそ美しさがはえる構図がとても素敵。

「無」のような間の空気感作りはやはり素晴らしくてため息をつくほどだった。

平山家の入り口のところや応接間など同じところが何度も同じ構図で映り、「ローポジ」での撮影などの小津調が好きだと気づいた。

また、この映画で印象的な「赤いヤカン」は大好きなアキ・カウリスマキ監督に影響を与えていると知って感極まりない…。他にも女優の着物の色など計算しつくされているように感じた。

そして女優さんたちが可愛すぎる。主人公節子を演じた有馬稲子と幸子役の山本富士子が同盟を結ぶシーンが特にかわいい!

クラス会の詩吟のシーンは字幕付で観てよかった笑 そのおかげで詩吟の内容がわかって、とても胸にしみた。その時のみんなが真剣に耳を傾け、静かに自分と向き合っている様子を観て心が落ち着いた。

「子どもが幸せになれば親はそれでいいんだよ」
子どもの幸せを思って親は色々口出しするのはわかっているのだけど、やっぱり放っておいてと思ってしまう。

親子の関係がリアルにも優しく描かれていて、美しくて心地よい映画だった。
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