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彼岸花のmaruchanのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
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🇯🇵

すばらしい。。。
『お早よう』も最高だったけど、これまた良かった。

小津監督の初のカラー作品とのこと。

構図がとても好き。
左右脇にフスマが見える居間、ホウキのかかった廊下。お父さんの仕事場の、デスクに腰掛けた寄り気味のアングルと、来客用のソファ席の引き気味のアングル。スナック街への道と、スナックと町中華の店内。
ベスポジから動かない構図が、当時の撮影事情なのかもだけど、魅力的。それに同じ構図が何度もでてくるのが、安心感があってまたよいのかも。

セリフと、そのテンポが好き。
父と母と、娘二人の、品もよく、テンポもよいセリフがまずいい。かけあいも心地よい。馴染みの京都・祇園の旅館の親子の京言葉が入ってくるのが、これまたよい。
これは構図とも関わるけど、しっかりカメラ目線で話してくれるのが、相手にまっすぐ話してる感じがしてなのか、届いてくる。

お洋服や部屋のスタイリングが好き。
お早ようでも驚いたけど、これがその先駆けだったのか。お早ようはこれよりさらに好みだった。
節子のシックなお洋服もすてきで、文子のお着物もかわいらしかった。
赤いやかん。柄があるのにうるさくない襖。照明とライト。フルーツ盛り合わせやオレンジジュースの瓶。

時代と、その描かれ方が好き。
いまではタブーとされている亭主関白的な、昭和の要素全開なのに、見ていて心地が良い。きっと受けて側がそれに不足していないからなのと、ハートフルだから。
中学の同級生の娘の結婚式に、お互い呼び合うのが自然な時代。それもひとりふたりじゃなくて、集団の仲間で。結婚式のあとのおじさんだけの飲みの席では、毎度同じような会話をして父ちゃんたちは陽気に飲みふける。粋だなー。

小津さんのカラー作品を制覇したくなった。
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