エドワード・ヤンの『カップルズ』は、まさに火薬だけの炸裂を力頼みにして嵐の中に飛びだしていく散弾のような映画です。
その死後から10年以上経とうとも狙いは違わずに、ぶす、ぶす、という音と共に私たち観客という獲物に命中します。
私たちの感性という肉にのめり込み、
驚きという血管を破り、
憐れむという内臓を裂き、
慈しむという骨を砕き、
最後に感想という羽毛を散らせるかの如く木っ端みじんに粉砕します。
まだ観ぬ方、それもなるべくお若い方々がその散弾にどこまで耐えうるか興味尽きません。
因みにこの作品から受けるキズの治療薬はいまだ発見されてません。