【モザイクなしのコーマンが見たい】
“初めて劇場 御開帳した時 見たこのコーマン”
最近たまたま、いくつか昔コーマンを見ちゃったので、歴代ユルイの汁気多いの、色とりどり大集合させた本コーマンを、久しぶりに覗き込みたくなりました。
保健体育で教わるように柔らかく、コーマンについて知れる良作。90分という長さもコーマンぽく、締まりが良い。コーマンがナニを入れて出してきたか、とてもわかり易い。
しかし久しぶりに見直してナゼか、肝心なトコロが見えていない、モザイクかけられたような気分になりました。
それがナニかと問われるとよくワカランのですが、コーマン史の概要はわかるし面白いのに、コーマンの中が見えていないように感じてしまった。
例えば、コーマンが産んだ全コーマン名場面をつなぎ一本で流したら、コーマンそのもの。長くなるがそうした方が、コーマンの奥底までごくシンプルに、覗ける気がする。コーマンの偉大さは、多産というコトでもあるのだから。本作とそれを、二本立てで見てみたい。
本作で一番心が痛んだ…気がするのは、ハリウッドの幼児化でコーマンが古びてしまったこと。引き金はスピルバーグ。彼の顔に、ジョーズのテーマが被る恐怖演出が可笑しいが、産みの親コーマンを差し置き、ハリウッドは子供を子供のままで、金のため育ててしまった。
で、ルーカスのSWが、決定的追い打ちをかけました。コーマンが産み続けた早い安いうまいという子供が、遅い高いうまいに変わってしまい、観客は皆、そちらに行ってしまう。
どんなジャンルであれ、映画の質が高まるのは喜ばしいことですが、子供相手のものを妙にグレードアップさせて、いつまでも大人がソレで遊んでるのって、実は退化でないかい?
私が最近の“高級アメコミ映画”に夢中になれないのは、そんなトコロにも理由があったり。
本作で、映画として心に残るのは、ただ自分が撮りたくて撮ったという『侵入者』ですね。
https://filmarks.com/movies/54053
制作の妨害に遭いながらも、人種差別を訴えた、コーマンの中の、珍しき名器です。
今回、DVD特典の監督インタビューを見たら、巨乳美人でびっくり。ドキュメンタリー制作は、彼女にしか許さなかったそうだが、はは〜ん、とか不埒なことを考えました。バイトだったパム・グリアを映画に出させて、色々出させてヤラせていたコーマンだからね!
しかしこの監督さん、重要人物をこれだけ出せたのは凄いよね。ジャック・ニコルソンに喋らせるのは大変だったらしい。コッポラとキャメロンは、スケジュールが合わず諦めたそうだが、キャミーからはぜひ『殺人魚フライングキラー』への言い訳を聞きたかった!
<2022.7.6記>