バグダッドに派遣されたある爆弾処理班を描く社会派映画。
タメのきついカメラ、役者のクローズショット、息を飲むようにBGMが消え…
なんて演出はない。音もなければ過剰な演出もない。
そう考えると、「娯楽」としての映画はいかに演出によって味付けされ、感情を計算し尽くされているかがわかる。
写っているのは、ただ彼らが紛争地域で目の当たりにする緊張感やむごい現実。それを、私たちは前のめりになるわけでもなく、目で追うだけ。
悲劇や感動を押し付けるような誇張表現はない。
役とシンクロして激怒したり悲しみに打ちひしがれるわけではなく、静かに'軋む'彼らのわずかな心の動きをキャッチする。
そうは言っても、映画の中の彼が激怒し号泣しなければ、同じように私たちもモヤモヤを抱えたまま、無慈悲に行われるテロという現実との共通点に対し、この感情を落とし込む。そういう意味で、とてもリアルな作品だと思う。
飛び散る土塊や爆発のエフェクトには力が入ってていい。
# 122/2019