スコセッシフォールド全開

ハート・ロッカーのスコセッシフォールド全開のレビュー・感想・評価

ハート・ロッカー(2008年製作の映画)
3.0
爆弾処理ってあの分厚さの防護服と10メートルくらいの距離があれば無傷でしょ、とゲーム脳でいた自分の恥ずかしさを痛感する冒頭。解除中に爆弾を作動され、爆風で吹き飛ばされる。ヘルメットシールドが血で赤く染まるシーン。あえて顔を見せないのが想像させられて辛い。離れていても肺を圧迫され吐血して窒息死する、あるいは金属片が猛スピードで飛んできて簡単に貫通する、新しい嫌な知識を得る。あまりにも爆弾の数、爆薬の量が多いとジェームズは防護服を脱ぎ捨てる。命を守るものから、ただの暑苦しいだけの厄介なものになってしまう印象的な場面。
一方的にイラクを悪として描いているように感じて不快だった。人間爆弾とかもちろん駄目なんだけども。民間人に対しては人道的配慮されている?いや車のあんちゃんのくだり。ストーリー的に空爆がメインではないので彼らの死がほとんど描かれないのは必然。アメリカでは自国民の犠牲が反戦メッセージとして有効なんだと思わされる。ハリウッドよ、いいのかそれで。
イラク戦争に派遣される米軍。悪人かつ戦争被害者だと見ていて、前者は先程記述した通り×なのだが、後者は△よりの○だった。主人公ジェームズが妻子がいるにも関わらず爆弾処理の中毒になる、戦場で受けた衝撃“死の欲動“という戦争の怖さが一応根底にはあるようで、アメリカ正義万歳とならなかったのが唯一の救い。