安堵霊タラコフスキー

ハート・ロッカーの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ハート・ロッカー(2008年製作の映画)
4.3
最近まさかのヒットを飛ばした漫画に連チャンパパってのがあるけど、思えばこの映画の主人公もある意味で連チャンパパと化した男だった。

というのも主人公のジェレミー・レナーは職務の戦場での爆弾処理に快感を見出すような男で、その戦場における敏腕ぶりと問題行動の多さはまさにパチンコと妻の裏切りにより屑としての才覚を発揮した連チャンパパのイラク戦争版に見える。(元はそれなりの善性もあったのに環境により狂ってしまったことが伺える点も共通している)

ところで映画としてはあまり好みでない手持ちカメラの映像ながら戦場での臨場感が十分出ていたから嫌悪感が出ず、死者が出るときにスローモーションになる表現も劇的な感はありつつも手持ち撮影との対比で印象には残ったし、実際脳の作用で死に瀕する瞬間時間の流れが遅くなるって話も聞くから、そういう意味ではそこもリアルを追求した結果なのかもしれない。

そんな具合に21世紀的な戦争の臨場感の再現と、危険な行為において才能を発揮し狂気的にもなる人間の危うさってテーマのおかげで、賛否両論な中でも結構自分としては最初見たときから好意的に捉えられた作品だった。

しかし色んな作品見ても思うけど、人生って何処でどう転ぶかわからないから恐ろしいのよね。