夜の帳に映える蒸気機関車の白煙。カフェでのうるさいおしゃべり。わたしをみつめる彼の瞳。
恋に落ちてしまった瞬間を覚えている。そんなつもりじゃなかったのに。気がつくとまた次の約束をしてしまっている。罪悪感と高揚。重ねられてゆく嘘。ふえてゆく煙草の吸殻。
17時43分にとけなかった魔法はあなたの言葉でとけてしまう。そしてわたしは不滅の夢から解放される。あんしんして、あなたの腕のなかで。
いつかお互い笑わなくなって、魔法なんてとけちゃうのにね。あんなさよならじゃあ永遠に囚われてしまう。でもあなたがぜんぶ知っていたことも、わたしにはわかっていたのかもしれない。ごめんなさいの代わりに、心のなかであなたをぎゅっとだきしめた。