KnightsofOdessa

逢びきのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

逢びき(1945年製作の映画)
4.0
No.183[許してほしい、君に出会ったことを] 80点

いきなり優しそうな女性が目の前にいる噂好きなクソうるさいおばちゃんに対して"死んでくれたら..."と心の中で呟く、そのあまりの直截な物言いに引き込まれてしまう。私もうるさい人は苦手だが、終盤の繰り返しによって確かに朗らかな殺意を覚えるようになるのは、単に嫌いだからだけでは片付けられないほどローラの内面に近付けたからなのかもしれない。正直に言えばセリア・ジョンソンもトレヴァー・ハワードも全く華がないのだが、ひどく凡庸な生活を描くにあたってここまで適した人材もいない気がする。無論、魅力がないわけではなく、特にセリア・ジョンソンの貞淑さと無邪気さを持ち合わせた雰囲気といい笑顔といい、トレヴァー・ハワードがころっと惚れてしまうのも分かる気がする。シンプル・イズ・ベストを極めた原点にして頂点といったところか。

後に『邪魔者は殺せ』『第三の男』を撮ったロバート・クラスカーが撮影ということもあって、画の陰影が素晴らしい。特に高架下のシーンは隣に死体でも転がってそうな暗さ。飛び込みかけて思いとどまる有名なシーンで顔にかかる光も良い。てか、目に何か入って出会う男女多すぎね。
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