しゅう

逢びきのしゅうのレビュー・感想・評価

逢びき(1945年製作の映画)
4.8
デヴィッド・リーンは後に大スペクタクル映画ばかり作るようになるが、彼の本来の持ち味はこういう小粒な小市民を描くところにあると思う。

原作の舞台劇より優れていると思われるのはお喋りな知人の扱いで、最初の登場では観ている者がまだ状況を理解出来ておらず、少しずつシリア・ジョンソンの心情がわかってくるのだが、最後の逢びきの時に最悪のタイミングでその知人が声を掛けてくるファーストシーンの繰り返しは作劇的に抜群の上手さで観ている我々もシリア・ジョンソンと同じダメージを受けてしまう。
(しかも去っていくトレヴァー・ハワードの姿を塞ぐように入ってくるショットにトドメを刺される)

主役2人の心理描写、徹底的に被せる内心の声の効果、ラフマニノフの曲などが相俟って非常に優れた傑作となっている。
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