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ストリート・オブ・ノー・リターンのwigglingのレビュー・感想・評価

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サミュエル・フラー監督特集 in YCAMにて。
80年代後半の独特のいなたさに溢れた、だけどやけにスタイリッシュな、そのバランスがすごく奇妙なノワール作品。

実力と人気を極めた歌手マイケルが、ギャングの情婦に惚れて駆け落ちするも失敗。大切な声を奪われアル中の浮浪者に身を落とすが、千載一遇の復讐のチャンスが訪れ...というお話。

ストーリーとは直接関係ないが、冒頭の暴動シーンがとにかく凄い。大通りで大勢の黒人やヒスパニックが大乱闘を繰り広げている。不思議なことに、全員が一定の距離を保ってタイマンでやりあってるんだよね。まるでダンスでもしているような。
これもまたフラーが記者時代に体験した社会情勢を強く反映したシーンなんだとか。

物語の方は若干のご都合主義が散見されるものの、見応え充分なドラマだった。最後に愛は勝つ的な臭さも、作品のビザールなテイストに紛れて気にならなかったし。
とにかく80年代のダサかっこ良さが懐かしく、良いものを観れたなぁという事に尽きますね。
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