⭕️初見
第四回日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞、山田洋次監督作品ということで鑑賞。
北海道が舞台で主演は高倉健ということで「幸せの黄色いハンカチ」と同様のテイストに期待を膨らませて鑑賞しました。
昭和後期映画を語る上で欠かせない監督、俳優陣の織りなす世界は見ものです。
◼️脚本は流石に賞を取るほどのものということもあり、シンプルに面白かった。
言ってしまえばベタな内容のように感じるのですが、ストーリーの構成が豪華役者陣の演技にマッチして、とても素晴らしく映っていました。
赤の他人と過ごす数ヶ月間で縮まっていく距離の描き方は、北海道の田舎町という設定も相まって、余計な情報がなく観やすいし、広大な土地から伝わる寛容な空気感には深みを感じました。
ヒロイン(下記参照)が抱える主人公とは関係のない問題も点で描かれていきますが、これが見事に線になるので、お手本のような脚本でした。
◼️キャラクター設定が良い。
やっぱ、この映画の見所は、倍賞千恵子演じるヒロインの描き方だなぁと感じました。
女手一つで子供を育てていて、自分という芯を持っている強い女性像なのですが、この表面と、裏にある”女“としての一面を絶妙な塩梅で描かれていて、やっぱ倍賞千恵子は良い役者だなぁと思いました。
節々で見せる表情が素敵なのよねぇ。後半になるにつれて色々と見えてきて良い。
◼️結局、舞台が北海道という強さ。
まぁ、全てを包み込んでくれているのは、ここにあるような気がします。
ストーリー性もキャラクター設定も、北の大地が織りなす乾いた夏の空気感や長い冬の凍える寒さ、広い空や雄大な自然、動物たちに支えられて、情景や心情の描写が誇張されていました。
◼️総括
個人的には山田洋次監督作品の中でも割と好きな方かも。
映画として非常に優れているのでおすすめ。
《好きなシーン》
ラストシーンまでの一連が結局良い。
主人公高倉健が自分のバックボーンを暴露し、警察に連行されるまでの一連はなんだが日本映画らしさを感じられて素晴らしかったです。