ベルモット

重力ピエロのベルモットのレビュー・感想・評価

重力ピエロ(2009年製作の映画)
3.4
原作の方が良いのは大前提として、映画もそんなに悪くなかった。
加瀬亮と吉高由里子は少しイメージと違ったけど、全体的にビジュアルも登場人物の性格も大きなずれはない。
特に泉水と春の子ども時代のシーンが良かった。原作がいいから当たり前だけど。(こんなところに幼き頃の北村匠海が出ているとは知らなかった!)
まあ文字にするべき言葉と口にするべき言葉っていうのは違うから、どんなに原作が良くても役者の演技力があっても限界はあるよね。
文字でしか生きない言葉がある。






ただゴダールに関するところが全部カットされていたのは残念。伊坂幸太郎は絶対ゴダール好きなのに。それに、あのノートのくだりは春がどれだけ「気休め」を大切にしているかが伝わってくる重要な部分なのに。
あとはネアンデルタール人とクロマニョン人の話題などもカット。自分の知識や考えに自信を持って断定的に語る春の性格や、そこから独特な方向に考えが及ぶ春の狂気が表れる面白いところなので、それらが描かれないのは残念。
探偵と泉水の会話もほぼ無し。ここもゴダールの映画に影響受けてると思うんだけどなあ。そして、面白いのになあ。
尺の問題かな。気になった人はぜひ原作を読もう。
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