emily

髪結いの亭主のemilyのレビュー・感想・評価

髪結いの亭主(1990年製作の映画)
4.0
 ある日理髪店で髪結いのマチルダを見つけ、一目ぼれ。子供の頃からの夢をかなえ、彼女と結婚するアントワーヌ。彼女を見つめ触れ、幸せに満ちた日々を送るが・・・

 子供の頃大好きだった理髪店の豊満な女性。昔の思い出とマチルダとの出会いを切り替えながら見せていく。マチルダとの出会いが、子供の頃夢見た物と交差し、アントワーヌが今もなおあの時の、少年のままのピュアな心を持ち続けていることがわかる。眩い光を放ちマチルダを演じるアンナ・ガリエナを抜群の角度からゆっくりととらえる。アントワーヌが優しく触れ、じっくり映し出す事で、その質感や香りが映像からも伝わってくる。優しい音楽と光に包まれ、彼女が居る幸せ、触れられる幸せ、男の目線で綴られ幻想とも夢とも感じ取れるような愛の一コマを堪能する。抜群の透明感と色気、少年は多くは求めなかった。そうして手の中にある幸せをしっかり堪能している。それ以上は何も求めない。だからこんな幸せな笑顔で居られるのだ。しかり永遠に続く物などこの世にない。始まった物には終わりが必ず来る。そうなる前にまるで夢物語のように”永遠”の枠に収める。素晴らしい愛の形。求めすぎない男女、手のひらにある幸せをしっかり噛みしめて生きたから感じられる幸せ。求める事の先に幸せなどない事を改めて考えさせられる。
emily

emily