アマプラ。なぎちゃんと。画質もよかったし、楽しかった。
冒頭はヴェネツィアから。チェスのグランドマスターの対局シーン。これがけっこうカッコよくて、思わず『クイーンズ・ギャンビット』を思い出しちゃった。ほんとは順序が逆で、アニャ・テイラージョイなんてまだ生まれてもいないのだけど、パッと結びついちゃったのね。チェスのシーンはかっこいい。そういうこと。
これにロバート・ショーのボンド殺しの訓練シーンが続く。これがなかなか迫力あってよい。わかっちゃいるけど、ちょっとびっくりさせる導入。それからスペクターの陰謀がぶちあげられると、みんなで飛んでイスタンブール。
ここで我らがビアンキちゃんの登場。最初はロシア語話して、それからロシア訛りの英語を話すのだけど、彼女の英語はからっきしで、けっきょく吹き替えになったんだという。
あとはスパイ合戦の超重要アイテム暗号解読機を強奪すると、オリエント急行に乗って(今はクロアチアだけど当時はユーゴスラビアの)ザグレブからトリエステへ向かい、ヘリコプターとカーチェイス(これってヒッチコックだっけ?)してから、海路でも追っかけっこして派手な炎上シーンをを経て、ふたたび我らがヴェネツィアへ。
でもボンドとビアンキはこの作品で初めてのヴェネツィア入り。冒頭のヴェネツィアはスペクターのチェスマスターから始まったから、当然ここでもスペクターが待っている。もう一波乱。
でもそれにしても、なんて平和な時代なんだ。平和な時代の観光映画だよね。これ観たはずなんだけど、平和だってことは全然意識しなかった。今だからそう思うんだよね。覚えているといえば、列車のコンパートメントの殺し合いのシーンぐらい。もっと長かった記憶があるんだけど、今回見ると割とあっさり。
見直してみると発見が多い。イスタンブールのシーンがよい。ビアンキの登場シーンもそうだけど、街並みや道ゆく車がノスタルジックでうっとりしちゃう。地下にもぐれば迷宮になっていることを、ソ連大使館の下へと続く地下通路とかで紹介してくれちゃう。
すごい魅力的なイスタンブール。そしてそしてボスポラス海峡。抜ければ黒海。そこはソ連の南の玄関口。だからイスタンブールは東西陣営の結節点で、双方のスパイが右往左往してお互いに顔見知りという設定も納得。なんとも平和だけど、その平和を脅かすのが例によってスペクター。そして007が危機一髪。そんなお話し。
ダニエラ・ビアンキとロバート・ショーはよく覚えているんだな。というかすごく話題になったんだよな。でもロマ人の美女ふたりの戦いのシーンはすっかり忘れていた。あんなシーンあったんだ。その前のベリーダンスも含めて眼福でしたね。
ラストの靴の毒針の靴も覚えていた。でもあんなにあっさりやられちゃたんだね。もっと長かった記憶があるんだけど、いいかげんなもの。
それから最後の最後は溜息橋をくぐって大運河へ。ボートの上で、相変わらずのボンドのボンドぶりに、ビアンキがほら誰かにフィルミングされてるわよ苦言。「そいつは二度とごめん(Never again)」と応じたボンドだけど、マジックミラーからフィルミングされたときのフィルムを取り出すと、そいつを潟に投げ込んでから、エンドマークのあとのいつものシーンに精を出すことになる。
だからフィルミングは無しよとばかりに、ボンドはカメラの前で手を振ってみせるのだ。その手の振り方がちょっといやらしいのは、そういうこと。だからカメラも揺れる。もちろんスタビライザーなんてないというのもある。でもテレンス・ヤングは、ちょっと揺れるショットが欲しかったんだよ。ボンドとボンドガールは、カメラの回ってないところで揺れているわけだから。
名曲、フラム・ラッシャン・ウィズ・ラブを聞きながら、心地よい2時間弱でござんした。