いののん

キング・オブ・コメディのいののんのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
-
怖い。JOKERと名づけられていないだけで、ここに、JOKERがいた。自尊心を肥大化させた、テレビでKINGになることだけしか考えていなくて、それまで下積みで経験を積むなどといったことは全くせず。






本作を観てから、wikiを読みました。気の進まなかったスコセッシに、デニーロが再度、話をもちかけて、ようやく制作にこぎつけたとのこと。それを読んで、私は、デニーロのことを凄い人なのだとあらためて実感しました。時代を読む確かな眼(それは結局は、1980年代という時代だけでなく、現代にも続く闇でした)、映画人としての嗅覚の確かさ、カンペキに演じるということ。1980年代、もう、きっと、相当売れている役者だったのだろうと思います。なのに、どうしてこんな闇を見つめていられたのでしょう。きっとそこには、売れっ子でも有頂天にならず、ちゃんと、このJOKERを、わかる人であったということに、心が震えます。
いののん

いののん