おとうちゃん

キング・オブ・コメディのおとうちゃんのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
3.0
精神的バイオレンス!

妄想と現実の区別がつかないコメディアン志望の男ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)。自分を売り込むために人気コメディアンのジェリー(ジェリー・ルイス)に付きまとい...

題名で検索かけると‟下着泥棒”しか出て来ない、痛い芸人に乗っ取られた この映画...実は痛い芸人は こっちが元祖!

暴力シーンは殆どなく血も全くでないが、観ていてる間ずっと心が痛い!

『タクシードライバー』の双子的な作品とも言われているが、妄想の中に入り込み相手の言葉を聞く気もないパンキンは、会話が通じない分トラヴィスよりも滑稽で哀れ...リアルに痛い!

「どん底で終わるより、一夜のキングになりたい!」...そのためには手段を選ばない。
サイコホラーに分類したほうがシックリくる、次に何をしでかすか分からない恐怖!

ある時はマフィアのボス
また、ある時は難病患者
そして、ある時は売れないコメディアン

彼の役者としての幅の広さと奥の深さは一朝一夕で出来上がったモノじゃない!
若い頃からのチャレンジ精神が、今のデ・ニーロの財産になっているのだろう。

自己評価が異常に高く、他人や社会の評価から逃げ続け暴走するコメディアンという難しい役を、貪欲な役作りで徹底的に追求している。
「デニーロ・アプローチ」は肉体改造に限らない。

ぶっちゃけ あまり好きじゃないジャンルの上、メンタルが弱い私めには主人公の圧巻の痛々しさに耐えきれず、目を覆うこと しばしばだがデ・ニーロのイタい漫談は一見の価値あり。