平田一

キング・オブ・コメディの平田一のレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.8
恐ろしくて一時停止を何度もしたけど、見入ってしまう。

人の話は全然聞かない、自分の良いとこだけアピール。自分を売り込むことに執心、相手の都合はお構い無し。人のことは言えないけれど社交性の欠如ぶりが、あまりにも生々しくて、終始怖さでいっぱいでした。

ただルバート・ハプキンには別の恐ろしさもあった。"自分もこうなる可能性がゼロじゃない"という怖さが。誇張してるのは承知のうえでも、なりたい自分になれないことへの抵抗感と焦燥感は、蓄積してくと狂気に繋がるスイッチへと早変わり。躊躇せずに次々実行していくことへの恐怖と興奮。スコセッシの映画はまだまだ見ていないのが沢山あるけど、ボク的には『タクシードライバー』以上の傑作だった。恐ろしく反面教師的な面でも必見だった。

デ・ニーロは流石すぎるし、ジェリー・ルイスは不運すぎるが、一番怖いと痛感したのはサンドラ・バーンハードだった。ストーカーの最凶レベルがMAX級にゾッとしたし、あんな女に付きまとわれたら、家に戻れないだろうなあ…特にディナーの席での彼女の半狂乱ぶりサイコすぎる。これだと『危険な情事』を見るのは、もっと先になるだろうなあ…

とにかく怖い。
ホラー映画の怖さが可愛く思えるぐらい。でも必見の映画なのはメチャクチャ納得しました!
平田一

平田一