このレビューはネタバレを含みます
「長くつまらない人生よりも、一夜の王になる方がいい」
というセリフで、この人ちゃんと全部わかってるよね…?と思えてちょっとゾワっとした。
妄想との区別が付いてないというキャラを演じているというか。
自分をキャラクター化している人がたまにいて、それな気もしたというか、人生をエンターテイメントにしている感じがしました。
そういう彼のペースに観ている自分が巻き込まれているから、時々声だけ登場する母親も本当にいるのかわからない。
「母親に文句言われながら、事務所に送る用のテープを作っている、僕」
「トークの練習を時間を忘れるほど楽しくやってしまって、母親に言われてやっとバスの時間に気づく、僕」
「いい歳して、お母さんと暮らして、お母さんに怒られて拗ねる、僕」
という彼の中での設定なのかな、っていう風にとれないこともなかった。
別荘であんまり勝手をしないでとリタに言ってるところからしても、本当は別荘に誘われていないことも分かってはいるように見えたし…。
しかも漫談は普通に面白かった。
漫談をそんなに見ないから、どのくらいのレベルなのかとかは分からないけど。
私は登場人物が、1人だけ写って、長台詞を喋るシーンがある映画が好きだなと思いました。
「俺たちは天使じゃない」の演説
「ヴィクトリア女王 最後の秘密」の女王が自分が精神を病んでいないことをキリッと言い切るシーン
「独裁者」のチャップリンの演説
「エイスグレイド」のパパのセリフ
この映画の漫談もすごくよくて、そのシーンだけ何度も見返したくなる、魅力的なシーンでした。