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裏切り者のRのレビュー・感想・評価

裏切り者(2000年製作の映画)
4.7
グレイ初体験。素晴らしかった! 大変に抑制の効いた、陰気で、スローペースな映画だけど、じっくりしっとり丁寧に一定のリズムで心のなかにキャラクターたちの思いが染み込んでくる、この感じはなかなか他の映画では得られない、深い味わい。そういう映画が大好物な私には、Blu-ray欲しくなるくらい惚れてしまった。友だちと犯した罪をひとりで負って、1年半の服役を終え社会復帰を目指すレオは、叔父フランクの会社で機械工として雇ってもらえることになるのだが、そのためにはまず2年くらい職業学校に通わなければないとのこと。叔父がその間金を出すと言ってはくれるけど、母が心臓を患っているため、すぐにでも金になる仕事を求めて、その会社で営業的な仕事をしてる友だちウィリーの下で渉外を手伝うことに。ところが、ウィリーはフランクの会社と政治家たちとの汚職の手助けしており、レオがウィリーの仕事に付き合った夜、交渉決裂の末ウィリーが殺人を犯してしまい、警察に姿を見られて逃亡したレオに容疑がかかってしまう。ウィリーはうまく逃げおおせたのだ。レオが警察に捕まれば、当然ウィリーの罪を暴くことになり、下手すると汚職全体が明るみに出る可能性があるため、汚職に関与した全員にレオの命が狙われ始める。という流れ。なのだが、まったくそれだけではなく、ここにレオと従妹エリカの関係、エリカとウィリーとの恋愛関係、エリカと継父フランクとの関係など、結構関係が複雑やし登場人物も多い。普通だったらごちゃごちゃして苦手なタイプの映画になりそうやのに、これがまったく整然としていて、すべての展開がスッと頭に入ってくる。すごいことだ。のみならず、明滅する照明が非常に特徴的な、陰影の深い映像から、ぎゅっと染み出る彼らの心情も不思議なくらいスッと心に入ってくる。で、主人公のレオではなくて、ウィリーに対する見る側の心持ちを、様々に変化させるのが、独特で面白いなー!と思った。最後、さまざまな悲劇とサスペンスの果てに、レオが人間として一皮剥けるまでを描いた、ある意味、成長譚みたいになってることに気づき、おおおおお! すげええええ! ってなった! 見事としか言いようがない。全編の雰囲気を決定づける重厚な音楽も素晴らしかったし、何より、売れなさそうな映画にしてはキャスト豪華すぎじゃね? どうなってんのこの映画? しかも何気にたまたまマークウォールバーグ連続やし笑 年輩の俳優たち全員素晴らしすぎ。ものすごく地味だけれどもあらゆる点で文句なしの傑作! 何度も繰り返し見たい系!