ロシア版リメイクの「12人の怒れる男」は明らかに名作だった。
本当に凄い。久々に唸った。
いきおい私、元々のアメリカ映画、シドニー・ルメット版まで遡って観直しちゃいましたもの。
もともとのルメット作品は1957年公開ですが、この60年ほどの間に、世界がどれほど複雑で一筋縄でいかなくなったかが(後発の作品とを見比べて)よく分かった。
という訳で、悲しいかな、前作が牧歌的にすら思えてしまう…。
ルメット作品は舞台劇をみるようで、そのうち自分自身が陪審員の一人になったふうに感情移入して行くのだけど、ミハルコフ作品では陪審員になりつつも、後半で目のウロコ何度もボロ落ちのオマケ付きで、そのたびに頭を抱えたり、かすかな希望を見出したりさせられるのだ。
今回のリメイク版は上映時間が長くなった分、陪審員それぞれの掘り下げが緻密だし、被告少年を取りまく背景も詳細に描かれている。
人間はいかに偏見を含んだ先入観を持ち、そして想像力を働かせない盲目の世界(無感心)を漂いながら生きていることか。そして、それらを拭い去って対象と向き合ったとしても、この世の中での正義、あるいは人の慈悲をどこまで全う出来るのか。
そんなことを問われるような内容だった。
はぁ。。
こんなこと暑くらしく語られても困っちゃいますよね。
核心部分を話すとネタバレしちゃいそうで説明が非常に難しい…。
決して楽しいお話ではないですが、一人でも多くの方に観てもらい、一緒に考えてみたくなる映画であるのは間違いなしです。