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愛する者よ、列車に乗れのTOTのレビュー・感想・評価

愛する者よ、列車に乗れ(1998年製作の映画)
4.0
ある男性画家の葬式に参列するため電車に乗った複数の男女の群像劇。
双子の弟、甥とその妻、看護師、遺産相続人、同性の元恋人、謎の青年、トランスジェンダーの元教え子。
生きる者と死んだ者の境が最も近くなる葬式を舞台に、画家の不在により抑えていた各々の苦悩が噴出して傷つけあって抱擁し、涙して再生する2日間。
画家と弟2役のジャン=ルイ・トランティニャンはじめヴァレリア・ブルーニ・テデスキやパスカル・グレゴリーと錚々たるキャスティングだが、トランスジェンダーの元教え子で男性と女性の身体的な特徴両方を有するヴィヴィアンヌ演じたヴァンサン・ペレーズと、中性的な風貌でエイズを病み登場人物の中で最も生と死の境に近い青年ブリュノを演じたシルヴァン・ジャックが突出している。
既成曲使いが見事で、EBTG「Better things」とビョーク 「All is full of love」の使い方も印象的。
久しぶりに観たら、今作をLGBT映画のベスト10に挙げてたドラン監督『たかが世界の終わり』冒頭が、手持ちカメラや編集のテンポ、曲使いに似た雰囲気あったなと思ったり。
若かりしギヨーム・カネやオリヴィエ・グルメの姿にわぁと声が漏れたり。
パトリス・シェロー監督って今では殆どDVDで見れないし、映画はまず配役が褒められて、演出あまり宜しくはないんだろうけど、エモーショナルな構成や衣装美術カメラを含めたビジュアルの良さは再評価されてもよかろうよと思う監督の一人。
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