ちろる

何が彼女をそうさせたかのちろるのレビュー・感想・評価

何が彼女をそうさせたか(1930年製作の映画)
3.6
一度国内で紛失され、ロシアで見つかったサイレント映画。
始まりとラストが欠損しているが文字でまかなわれていたのもある意味発見されたフイルムとして生々しい。
高津慶子演じる少女すみ子の負の連鎖で不運すぎる境遇に苛まれていく様子は左翼的表現とされているようだが、「理不尽な社会への怒り」というよりはひたすらいたいけな少女をいたぶる作品のよう。今の時代に観たからなのか「天使園」のシーンは突然昭和の少女まんがのようにファンタジー感が強くなってびっくりした。
それでもただ打ちひしがれるだけだったすみ子が、後半に行くにつれて頑丈になり、ちょっとやそっとじゃ倒れない大人の女になっていた気がしたので、昭和の女の自立映画としても楽しむことができた。
高津慶子さんが見目麗しく、健気な演技にも引き込まれてたので時を経てまた私たちの前にこのフイルムを拝めたことに感謝。
ちろる

ちろる