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イップ・マン 序章のヒロのレビュー・感想・評価

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)
4.0
実在した武術家イップ・マン(葉問)を主人公としたカンフー・アクション映画
香港映画過去12年の最高傑作クンフー映画第28回香港電影金像将の最優秀作品賞受賞だそうです。
クンフー映画をまともに見た事が無いので、ブルース・リーのお師匠を題材にした映画があるという事で、見てみました。
まともに見た事が無い故、比較が出来ませんが中国拳法の見事なアクションシーンは見ごたえがあります。あと背景美術が良い。イップ・マンの住んでる邸宅、超素敵。住みたい…。
ストーリーは勧善懲悪。予定調和は否定できませんが、アクションシーンが圧巻。これの売りはアクションシーンなのでこれで良いのです。
燃えよドラゴン等の一般知名度より落ちてしまうのは、こちらの作品が中国政府の思想が全面に出た映画なので、それ故かな…と。
↓少し?ネタバレ













最初は佛山の武館街に住む葉問の現在の環境や、強さ人柄等がエピソードにて紹介されますが、2/3辺りから日本軍に侵略されてからの佛山になります。そしてちゃんと脚本セオリー通り、終幕の前のルール『全てを失って』『死の気配』が組み込まれてると思いました。
戦時中は、侵略国が悪者になってしまうのはしようがないですが、日本人として見てて心地の良い物ではないのは確か。でも仕様がない(^_^;)実際こういうクソな日本兵も居ただろうし…。居ないとは言い切れない。
中国のチベット侵略の映画、ブラピ主演のセブンイヤーズインチベット(今も中国内放送禁止)も、中国軍の悪行がある。洋の東西を問わず、戦争を仕掛けた側が“悪者”になってしまうのはしょうがない。洋画でもナポレオンがいた時代、外国映画だとフランス軍悪役にされたりする訳で…。(つまりは戦争は良くない…!ですね)
しかし三浦閣下をやや人格者にしてるのは、ちょっと忖度したのかな…。日本兵下はクズばかりだが、上には比較するとまともな人が居ます、みたいな(汗)
自分が日本人じゃなく、例えば中国人・又はそれ以外の第三国の人として視聴するとしたら、見ててディスられてる感じも受けないでしょうし、単純にクンフー映画として良作と思います(*^^*)

色々どこまで事実なのかググってみましたら、日本軍と戦った事実も無さそうです。(戦争終結後に国民党の政権下で警察局刑偵隊隊長、督察長、広州市衛戍司令部南区巡邏隊上校隊長などの警察関係の仕事を歴任してるそうで、映画みたいに日本兵ボコボコにした事実があったら、警察関係につけるのか?と。組織ルールに納得いかなかったら、上官ボコボコにしそう…って事ですかね…(汗)そんな危険人物が警察関係に就けるか疑問であると…)、炭鉱に出稼ぎ事実もないそうで(詠春拳教えて稼いでたらしい)、香港に亡命していますが、奥さん残してらしいです。それで定期的に会いに行ってたけど入国規制で会えなくなって、その間別の女性と暮らし始め子供もできてるそうです。ヒーロー設定だから清廉潔白にしないといけなかったんでしょう…余計な事実はクリーンナップしてますね(笑)
ただ日本嫌いはガチらしいです。中国拳法は日本人に教えるべからずを生涯強く主張してた様です。そりゃ、邸宅を日本軍司令部にするために没収されたり、直接日本占領下を経験してる訳で、個人的恨みありますよね…(^_^;)
しかし最後の方の中国拳法を日本人にも指導して欲しいと伝えた三浦閣下と、イップ・マンのやり取り「他を自分と同じように扱うのが仁。武力で民に圧力をかけるあなたたちには中国武術に値しない。」
って…今の中国やん…(^o^;)って思って、何て皮肉…って思いました。
こういう事言ってるとしたら、今の中国見たらどう思うのかな…。ウィグル問題とか台湾とか…。ベートーヴェンがナポレオンを英雄と思ったけど、侵略者だって分かって失望したみたいな流れもあるし。昔はそうじゃなかったのに、時間とともに指導者によってかそれは様々ですが、国の方向性が変わってしまう場合ありますよね…。
では近々、続きの葉問も見てみます!
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