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イップ・マン 序章のKuutaのレビュー・感想・評価

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)
3.3
日本兵の動きが全然空手っぽくないと思ったが、そもそも中国武術の描写からしてどう考えてもリアルではない、という前提を忘れていた。

昨年末から完結編が中国で公開中だが、向こうは映画館が休業続きで大変らしい。日本では5月公開予定で、それに向けて最初から復習していく。日本の映画館はその頃どうなっているのやら。

香港の神であるブルースリーの師匠であれば、その人物はより人外な聖人として描かれるのも当然ではある。画面がNHKの戦争ドラマのような薄暗いトーンばかりなのがかなり退屈で、アクション以外にはそこまでのめり込めなかった。

日本をブチのめす分かりやすいストーリーとは裏腹にドニー兄貴の表情はどこか朴訥としている。この不思議なアンバランス感はなかなかハマっていた。

空手って武道のはずだけど、儒教の教えの一つように扱われている。私の理解では武道は禅にルーツを持ちつつ、江戸時代の朱子学の影響で儒教要素が入ってきたという流れのはず。

まぁ、池内博之らのやってるのは礼もなってないし、儒教的ですらない。「日本軍の横暴は仁の思想に反しており、彼らの存在は中国武術に値しない」という指摘は妥当だろう。イップマンが日本軍を嫌って香港に去った史実に上手く重ねた脚色だと思う。

「これが最後の試合になるかもしれない…」と奥さんが取ってつけたように泣いていたが、絶対そんな起こらない事ないよとツッコんでしまった。

拳銃が権力、羽が女の武術と言われる「詠春拳」の象徴となっている。長い羽を使った序盤のアクションが特に楽しい。66点。
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