妻帯者の男性(志賀圭二郎)と不倫関係を続けている女性(歌川やす子)が、予期せぬ懐妊に見舞われた不良カップル(太田あや子&金田明夫)を諭そうとする。不器用な性生活しか送れない人間の奔走ぶりを描いている、日活ロマンポルノ。
不倫に溺れている主人公と予期せぬ子を宿した少女の、双方向から「女性の幸福論」を綴っている作品。若年を諭していく立場であるはずの主人公もまた、無軌道な性生活を送っているところがキーポイントとなる。
端的に言うと「ミイラ取りがミイラになる」を、適齢期をほんの少し過ぎたあたりの女性の視点から描いているドラマ。自分の幸せのために取った行動が、紆余曲折を経て、自分を格下げさせる結果を生んでしまう。
ロマンポルノの定石に則っている、新鮮味の足りない作品だが、定石だからこその味わいがある。笑えないレベルの負のスパイラルにより、却って笑いを煽られるという、珍妙な感覚を楽しむことができる。