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婚期の3104のレビュー・感想・評価

婚期(1961年製作の映画)
4.0
ほとんど女性だけで構成される、非常にかしましい映画。

兄(船越英二。頼りなくダメな感じを演じさせたらやはり絶品)嫁をなんとかして追い出そうと画策する姉妹に若尾文子と野添ひとみ。
(ちなみに2人には先に家を出た姉があり、これは高峰三枝子が悠々と演じている)

姉あやや、妹ひとみ(もしくは姉妹でなくてもそれに近い年齢や力関係)の組み合わせは他の作品でも観られるが、これがまっこといいバランス。両者のファンである自分にとってはそれだけで楽しい作品である。

あややは珍しい眼鏡姿が見どころ。
かなりの近視、というか弱視の設定らしく、眼鏡がないと麻雀牌すら見れないというありさま。いささか非現実的だがそこはまぁご愛嬌。
野添ひとみは現代的な女の子。
「黙れババアうるせーぞ!」の一言がとにかく素敵である。

そしてその姉妹のイビリを受ける側の兄嫁が京マチ子。真っ向から立ち向かうというよりは、時にこざかしい、時にえげつない攻撃を受け流すといった感じ。役柄というより役者として一枚上手な雰囲気さえ漂わせている。
加えていびられる悲哀のようなものを感じさせないので陰湿な空気がなく、そういう面でも今作を
「洗練されたコメディ」たらしめているのではなかろうか。

テンポの良い台詞の応酬が心地良く、どの役者も見ていて楽しく魅力的だが、何といっても「ザ・婆や」とでもいうべき北林谷栄さんの演技が圧巻。
当時50歳とはとても思えない、見事な老け演技ぶりである。
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