映画の舞台はナチスドイツの侵攻が始まったユーゴスラヴィア。
戦争の混乱に乗じ闇商売から成り上がっていくマルコと、彼の策略により戦争が続いていると信じ込まされ、地下で20年もの間武器を造りながら暮らしていた人々のお話。
いやー。なんだこれ。すごい。
一言でいうなら「これぞ映画!」っていう映画。
ナチスドイツに侵攻され、その後の度重なる民族紛争により、国自体が無くなってしまうという悲劇的な歴史をもつユーゴスラヴィア。
その歴史をきちんとなぞりながらも、あえてブラックなユーモアをこれでもかと詰め込んで、最高のエンターテイメントとして作り上げられている。
もちろん、史実になぞった歴史ドラマでもいい。
現実をそのまま映し出すドキュメンタリーでもいい。
でもクストリッツァ監督は、映画として、エンターテイメントとして、自分の国の物語を残そうとした。
そして完成されたエンターテイメントは、歴史から消えたひとつの国を永遠に世界に残した。
映像も音楽も素晴らしかった。