ペイン

アンダーグラウンドのペインのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
4.5
サッカーW杯クロアチ代表準優勝&モドリッチ選手MVP受賞記念に、旧ユーゴスラビアが誇るハイエナジー作家エミール・クストリッツァ監督のこの作品を再観賞。

まず初めに正直に言っておかなければならないのは私は本作を初めて観たのは10代のときで、そのときは常に騒がしく鳴り響いている音楽やハチャメチャなストーリー展開に拒否反応を示してしまった。ただ今観ると“自分の目は節穴だったのか?”というほどに興奮し圧倒された。むしろこれは完全に自分好みの映画だった。

私が最近観て虜になってしまった映画の1つに「フェリーニのアマルコド」という作品があるのですが、「アンダーグラウンド」は非常にこの作品に影響を受けていますね。どちらも半世紀にも及ぶ激動の歴史を描き、叙情たっぷりにユーモラスに壮大にパワフルに描いています。

とはいえ「アンダーグラウンド」が「フェリーニのアマルコド」の二番煎じなのか?と言えば全くそんなことはなくて、これはこれはクストリッツァ監督にしか撮れないフェリーニ監督作品とは異なる唯一無二のハイエナジー映画に仕上がっているのだ!特にやっぱりフェリーニ映画と異なるのは動物の使い方(笑)

監督の圧倒的なイマジネーションと、俳優陣の狂気に満ち満ちた演技はアレハンドロ・ホドロフスキー監督作品のそれらをも彷彿とする。

正直、クストリッツァ監督が昨年発表した「オン・ザ・ミルキーロード」との出来の差は雲泥の差。くれぐれも「プライベート・ライアン」のようなリアルな戦争映画を期待せずに観てください。大傑作。感想おわり。
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