きよぼん

アンダーグラウンドのきよぼんのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
4.0
オープニングは音楽を奏でる楽団のパレードで飲んで歌えの大騒ぎ。空襲でドッカンドッカン爆発が起こってるのに「腹ぺこで死ぬのは嫌だ!」とモリモリ飯を食う。地下室で明かりがなければ自転車をこいで明かりをつけ、惚れた女を奪うために支配者であるナチスのところに乗り込む。

もうハチャメチャ。なんともパワフル!いやはやエネルギッシュ!

ユーゴスラビアという国の悲劇を舞台にした、最高の喜劇となっています。

ただ楽しい、面白いだけではなく、共産主義や英雄とよばれる人への怒り、地下生活を強いられた人の哀しみも描かれます。しかしそれらも全て笑いに変えられています。全編喜劇なのに、喜怒哀楽の全てがつまっているという不思議。「笑い」という表現のとてつもない力を感じました。

映画は悲しい展開を迎えた後、ラストはみんなで飲み、歌い、踊る宴になります。ここで交わされる会話。ラストの台詞。楽しいシーンのはずなのに涙があふれます。

最高の喜劇は悲劇であり、またその逆も真なりといったところでしょうか。人が生きるって不思議なものかもしれません。
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