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スピオーネのtk33220のレビュー・感想・評価

スピオーネ(1928年製作の映画)
5.0
椅子に座ることの安定感。黒幕の男は作中のほとんどを椅子に座り過ごしている。道化の化粧をしたり、舞台でピアノの芸を披露している時もしっかりと座っている。他にも男に発砲してしまった女を部屋で匿うシークエンスでも、その少し前に窓から部屋に入ってきた主人公の窓から入るというショットは提示されず、すでに椅子に座ってる状態が画面に映される。そして、彼の体がすすだらけであることから生まれるサスペンスも椅子が関連してくる。一旦席を立つと人物の立場が危なくなる。

冒頭の強烈なテンポで描かれる大臣暗殺シークエンスから、全編通して印象的なショットが続いていく。マスクのような物を被り、ゴーグルをしている敵組織の衣装も独特。

『ドクトル・マブゼ』同様、円のイメージも目立つ。結末も警察に包囲されるというところで似通っている。
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