ロビンソン

映画に愛をこめて アメリカの夜のロビンソンのレビュー・感想・評価

5.0
映画を作るのはめんどくさい
そんなめんどくさいことも観客のために。そして何より大好きな映画のために…。

一本の映画を製作する過程を群像劇でコメディタッチに描く
ストーリーはなくて、ただ完成までの様子を観ているだけの映画だけど、ずっと観てたい
劇中で出てくる人みんなに対して監督の愛が見える
それは一人一人をキャラクターとして丁寧に触れているから
情けなくてだらしないけどみんな愛らしい
それでいてちゃんとしたエンタメ作品にもなっている
ただ映画の現場を映すだけじゃなくて、裏方の人や俳優たちの人間らしさが垣間見えるのがいいですね

映画はひとりじゃできない
みんなで協力してこそいい作品ができる
監督も俳優も女優もカメラマンもディレクターもみんなが協力しないと完成しない
監督だから権限があるわけじゃなくて、みんなを上手く鼓舞して最善の撮影をしなきゃいけない
撮影が上手くいかないトラブルがあっても、どうにか修正して辻褄があうように、違和感がないようにしなきゃいけない
その責任はすべて監督に。だから監督って大変だ

自分は何で映画を撮り始めたんだっけ?という問いに、映画を愛しているからだと言ってくれる
子供の頃「市民ケーン」の写真を盗んだり、ゴダールやヒッチコックなどの偉大な監督たちの参考文献を画面一杯に映し出す
トリュフォーはやっぱり映画を愛してるんだなって
そんな人が撮る映画がつまらないわけがないんだなって
そんなことを思います。

映画は人生そのものではなく、人生を豊かにするもの
映画で人生は変わらない。でも映画を観ている時間はとっても幸せで楽しいもの。それは作っている側も同じ。
最後のセリフに全てがつまってる。
この映画の主人公はトリュフォーでもレオでもジャクリーンでもなく、映画そのもの。

映画に生きた監督の映画への愛、人への愛にここまで溢れた映画を初めて観ました
映画好きならぜひ観てね
タイトルがいいですよね
「映画に愛をこめて」
私もこの映画に愛をこめて。。。