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コースト・ガードのkonoesakutaのレビュー・感想・評価

コースト・ガード(2001年製作の映画)
3.6
北からのスパイの上陸に備えて日々訓練する沿岸警備隊。カン上等兵は他の隊員が遊んでいる中でも切磋琢磨する熱血漢。闇にまぎれるため顔を塗る。夜7時以降、金網を超えると撃たれても仕方がない海辺がある。ある夜警戒態勢の中金網の向こうに忍び込んだカップルがいた。カン上等兵はスパイと判断し男を射殺する。軍では表彰されるが、男の仲間や家族からは石を投げつけられる。ここから気がふれる2人がいた。1人は射殺したカン上等兵、1人は目の前で恋人を射殺された女。

この映画のすごいところはここから。本当に気がふれているのはこの2人だけなのだろうか。違うんじゃないかという描写が連続する。

兵役とは。戦う相手とは。国家の分断とは。

深夜に沿岸警備隊が襲われる場面の緊張感は凄まじい。ギドク監督の海軍従軍経験もおおいに盛り込まれているのだろう。

帯びた強烈な社会性が作品のレベルを1つ上のランクに押し上げていると感じた。

狂気という点ではフルメタルジャケットの前半の方が上回るかもしれない。でも救いがないという点では他の追従を許さない。多分ギドク監督作品群の中でも最も救いがない。あのギドク監督作品群の中でだ。