東京アリス

がんばれ!ベアーズの東京アリスのレビュー・感想・評価

がんばれ!ベアーズ(1976年製作の映画)
4.4
【だめな奴が本気で頑張る姿って泣ける】

だめ監督が率いるだめだめ野球チームの成長ドラマ。
メンバーは、小さいなりにみんな生意気だったり自我があって一人前。
そこに少し大人な2人(アマンダとケリー)が加わることで「成長過程」にいる「子供時代」が際立って大人との対比が強くなる効果もあった。

「だめな子供」は可能性があるけど、「だめな大人」は見応えがある。監督・バターメイカーは成長しなそうだし「こうなったらもう…という底つき感のあるだめさ。
それでも、「こいつ、野球の為に自腹切るし、なんだかんだいって野球めっちゃ好きじゃん」という捨て猫を拾う的な圧倒的好感がもてる奴。

子供らもバターメイカーも、「野球」だったからつながれたし、一緒に成長できたのがわかる。「好き」は人を動かす根本的エネルギーだ。
結果、チームの団結とすれ違ってきたアマンダの「父」の座を獲得(ちゃんと両想い的に)できた。
(母が出てこない演出、好きだな~、普通出しちゃうよねぇ)

「あきらめるのは習慣になる」きっと色んなことを諦めてきたバターメイカーが、無意識に自分のことを言っているようで、そして画面のこちら側の大人にも響くのでした。

ラスト、負けになってしまってカタルシス弱めに思えたけど、真の勝利=チームの真の勝負魂が宿ったからこそのセリフ「来年は勝つぞ」が感動的だった。
音楽みたいなわかりやすい感情表現がなくても、この一言で観客に感動が起こることが映画の成功なんだと思う。

それにしても、音楽の使い方がうまかった。
同じ曲を曲調を変えてシーンの意味がわかりやすくて、へっぽこシーンが際立って笑えた。
お楽しみ演出が盛り沢山で楽しませてもらいながら、大人(=大きくなってしまった元子供)が本気で頑張る姿に感動させられる映画でした。
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