イチロヲ

忍者と悪女のイチロヲのレビュー・感想・評価

忍者と悪女(1963年製作の映画)
3.8
16世紀のイギリス、妻を亡くし失意中の魔術師(ヴィンセント・プライス)が、人語を喋る1羽の烏との出会いを契機にして、事の真相を確かめるための旅に出発する。ポーの詩「大鴉」を映画化したものだが、本編の大筋はまったくのオリジナル。ファンタジーに登場する魔法使いのイメージが日本に定着していない頃の作品のため、邦題には忍者が代替されている。

全体的な作風は、極めて単純明快なホラー・コメディ。怪奇映画界のオールスターが総登場して、ほのぼのムードのギャグが連発する。とはいっても、オフザケ感というのは一切なく、それぞれの演者がキャラクターに合った役柄を好演しており、本領発揮のための舞台がきちんと用意されている。

大きな見どころは、魔術師同士の丁々発止のやり取りと、手作り感満点の特撮で展開される魔術対決のシーン。見た目のチープさゆえに「グーで殴ったほうが早くない?」という突っ込みが止まらなくなるが、映画における「念力描写」という点においては、その礎を築いていると言っても過言ではない。(現にスターウォーズのフォースバトルと似ている)

「禍々しさと滑稽さの調和」がとても気持ちいい。ロジャー・コーマンが自分の立ち居地を理解しているからこそ完成した、珍品中の珍品。