マクガフィン

それでもボクはやってないのマクガフィンのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
3.8
痴漢冤罪事件をテーマにした社会派法廷ドラマ映画。

疑わしきは罰せずが成されない裁判への批判を時間をかけて徹底して調べ上げてることで強い衝撃を与え続ける。

監督の日本の司法制度のテーマに向かう熱量が凄く、否認する場合には勾留による身柄拘束が長期化、釈放や保釈がされにくい傾向、身柄の長期拘束、取調べの可視化などの現行司法制度である人質司法の実態が冤罪を誘発させているとことを洗いざし、強い問題提起の作風に。
身近な問題で誰にでも起こりうることは作品公開から10年経過した今も変わらない。

主人公のやってもいない事で罰を受けるわけがないと考えるのも当然なのだが、それがまかり通らない日本における裁判の現実を突きつけ、刑事裁判や人質司法に対する疑義をただす。裁判や裁判官に対して過度な期待をしていることに気づかされる。

心苦しくなるが、構造的な問題や被告側や裁く側の描写を淡々と積み上げることにより圧倒的な説得力が生まれ、更にコミカルを取り入れる作品のバランス感覚は絶妙で、より考えされる作風なのが秀逸。

・2007年 邦画 作品:第1位