あゆみ

それでもボクはやってないのあゆみのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
4.8
司法制度の脆さ。人が人を裁くことの不完全さ。
「裁判は真実を明らかにする場所ではない。限られた『証拠』の中から、有罪か無罪かを判断する場所」といったことばがあまりにも重たかった。
例え本当にやっていなくても、勝手に積み上げられた証拠によっては、明日から犯人に仕立てられてしまうかもしれない社会のなかで生きている。
冤罪による犯罪者にもなり得るし、ともすると自分の思い違いで冤罪の被害者を生み出してしまう恐ろしさもある。
そんな異常が、日常の地続きにある恐怖。これほどディティールを積み上げた映画は観たことがなく、二週間ほど経っても言語化出来ない感情がわだかまっている。
時代の現象と本質的な課題を捉えた傑作。
あゆみ

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