くろいひと

それでもボクはやってないのくろいひとのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
3.9

痴漢の冤罪事件をあつかった社会派の傑作。

事件の発端から取り調べ、裁判、判決にいたるまでがきわめてていねいにえがかれ、最後まで心理的なリアリティを保ちつづけていることが印象的。
ひたすら繰り返される公判もまた、ひとつの過剰な演出もなく淡々と進められるが、そこにもたらされる絶妙な緊張感。

もちろんこれは、司法制度の問題点を追求した誤審裁判劇として、幾多の例のあるものがたりにすぎない。
だがその凡庸な筋立てが、これほどまでに切実さにあふれ感動を生むのだとしたら、それは映画として比類なく傑出しているからだとしか言いようがない。
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