和桜

散り行く花の和桜のレビュー・感想・評価

散り行く花(1919年製作の映画)
3.9
西洋社会を啓蒙しようと中国からやってきた青年は紆余曲折の末に挫折。阿片とギャンブルに溺れる堕落した日々の中で、父親から虐待されている少女と出会い恋に落ちる。

映画の父、D・W・グリフィス監督作で彼の代表作の中でも簡潔な分かりやすさ。サイレント映画の中でも最初の数本にオススメしたいほど見やすく、著名人たちがベストに挙げているのも納得の完成度。
喜怒哀楽の顔をクローズアップで映す大発明に、『シャイニング』でも用いられた斧のシーンは圧巻だった。自分の指で笑顔を作ろうとする姿や恋に落ちた瞬間の表情、言葉ではなく二人の視線で紡ぐ愛の物語は悲しくもロマンチック。サイレントを越えた、映画の醍醐味がこれでもかと詰め込まれてる。

技法的な素晴らしさに対し、主人公がアジア人という設定ながらそれを演じるのは明らかな白人。目を細く猫背にして白人と対比させる価値観も『國民の創生』から残念ながら受け継がれてる。ただ100年も経つとこれは時代的な背景を知るための列記とした資料でもある。
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