おさかなはフィッシュ

散り行く花のおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

散り行く花(1919年製作の映画)
3.0
声の与えられていないサイレント映画では、登場人物はその姿、とりわけ顔で語る必要がある。
指で唇の両端を持ち上げ、笑顔を作ってみせる少女。それは父親のためだけでなく、私たちのためにも。
その奉仕の健気な様に胸を打たれる。



絹のガウンの使い方がよかったなあ。
青年は少女を匿い、衣食住を与える。貧しさの象徴だった重ねられた衣服は、彼女を寒さや病から守っていた。美しさを着飾る衣装がそれに取って代わり、今度はほんとうの少女自身、その少女性を守る。
青年は逡巡したのちガウンの袖を手に取り、そっと口づける。どうかまだ、守られていることを許して。
そんなガウンは粗暴な父親の命令で脱がされ、青年は少女のいなくなった部屋でガウンを抱き締め号泣する。最後は少女の亡骸の上にそっと掛けられる。与えたまま、答えの返ることのない愛。

あとは単純に、西洋少女×東洋衣装の組み合わせが萌えだよね。かわいい…。



これもゴダールつながりで鑑賞。
それと月曜日に向けて、心洗われそうな映画が観たかった。
まるでブルーウィローのような映画。