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ローラーとバイオリンの一のレビュー・感想・評価

ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)
3.6
ロシアの巨匠 アンドレイ・タルコフスキー監督作品

音楽学校に通う少年とローラーで整地作業をしている青年労働者との友情を描く

国立映画大学の卒業制作として手がけた監督処女作の45分の短編で、ニューヨーク国際学生映画コンクール第1位にも輝いた作品

アルベール・ラモリス監督の『赤い風船』から着想を得た作品とのことですが、タルコフスキーの原点というにはあまりにも可愛いらしい作品で、いつものような難解で取っ付きにくい感じは一切ない

語弊があるかもしれないけど、タルコフスキーも最初はいわゆる普通のわかりやすいハートウォーミングな映画を撮っていたのだとちょっと安心してしまったくらいで、純粋な少年と優しい大人との友情を詩情豊かに映し出すもんだから、ラストシーンなんかも感情ぐちゃぐちゃでめちゃくちゃ沁みたなぁ…

とはいえ独特表現センスは既に芸術の域に達していて、要所で水や光や鏡を効果的に使う演出の巧さは健在
もはやこの時から後に大巨匠となるような片鱗すらもうかがえる

これがタルコフスキーの入門になるかはわからないけど、彼を敬遠している方でも純粋に楽しめるような作品かと

〈 Rotten Tomatoes 🍅91% 🍿83% 〉
〈 IMDb 7.4 / Metascore - / Letterboxd 3.6 〉
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